「顎に違和感があるけど放置しても大丈夫かな?」
「重症化したりするの?」
など、顎関節症に対してさまざまな疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな方達のお悩みを解決するため、顎関節症は重症化するのか、重症化した場合の症状、顎関節症に対する対応法をご説明していきます。
顎関節症の病態について
顎関節症は、顎の関節とそこに付随する筋肉の病気です。まずは、その初期症状と顎関節症の型についてご紹介します。
初期症状は3つある
顎関節症を発症したときの初期症状は下記の3つです。
- あごを動かすときに音がする
- 口の開閉時に痛む
- 口を大きく開けづらい
5つある顎関節症の型について
顎関節症の状態は以下の5段階にわけられます。
■顎関節症Ⅰ型…咀嚼筋障害
口を開けたり閉めたりする運動や食べ物を咬んだり、歯を咬みしめたりした時に痛みが生じます。初期はこの状態であると考えられます。
Ⅰ型を放置して進行してしまうと、下記のように病状は段々と重くなっていきます。
■顎関節症Ⅱ型…関節包・靭帯障害
■顎関節症Ⅲ型…関節円板障害
■顎関節症Ⅳ型…変形性関節症
■顎関節症Ⅴ型…その他(上記Ⅳ型の分類に該当しないもの)
顎関節症は放置すると、顎が外れるようになったり、顎が外れたら自分で戻せなくなったりするなど重症化していくので放置してはいけません。
また、顎関節にある関節円板は軟骨なので、一度すり減ってしまうと元には戻りません。それが顎関節症を放置してはいけない理由です。
顎関節症を放置すると出る可能性がある症状は?
顎関節症を放置すると、どうなってしまうのでしょうか。
「重症化したりするの?」
「顎以外にも症状が出ることはあるの?」
といった不安もあるかと思います。
確かに顎関節症は放っておくと顎そのものも悪化しますし、顎以外の症状に発展する場合も珍しくありません。
顎関節症が重症化すると、首・肩・背中・腰にも影響を及ぼし、全身にさまざまな症状を引き起こすこともあります。
では実際に顎の症状をほったらかしにしておいて発展してしまう可能性のある症状を見ていきましょう。
口を開けるたびに顎が外れるようになる
実際に当院に来院のあった方ですが、
顎関節症が悪化し顎の軟骨がすり減ってしまって関節そのものがグラグラになってしまい、しゃべるだけですぐに外れてしまう方が来られました。
この方は来院時、外れた顎を自然に戻すことが出来ない状態でした。いちいち外れるたびに手でガコン!と入れないといけないの日常生活に非常に困っておられました。
この方は最終的に『アゴは外れるけど自然に戻る』
という状態まで改善して終了。それでも日常生活が大変楽になったと喜ばれました。
歯科には通院したことがあるが改善出来なかったとの事でしたが、ここまで重症になる前に何とかしたいですよね。
顎の骨の変形
関節軟骨の前方変形がきついと非常に回復しにくい場合があります。
軟骨だけでなく骨そのものも変形すると元には戻れないので要注意です。
もしそこまでなってしまった場合は、周囲の靭帯や筋肉を出来るだけ緩和して、出来ることを少しでもやっていくしかありません。
あご以外の全身に及ぶ痛み
顎関節症は顎以外にも全身に影響していく事があります。
筋肉には、筋スパズム(筋肉や関節を痛めると、脳が患部の周辺組織に対して筋肉を硬直させるように指令を出す)という現象があります。
筋肉が硬直すると、血液の供給が減少して老廃物の蓄積が増加するため、痛みを生じます。
全身の筋肉は靭帯や骨を介してつながっているため、顎の痛みが悪化すると、首・肩・背中・腰へと伝わっていき、全身に痛みを引き起こすことがあります。
耳鳴りやめまいが起こる
顎関節症になったときに起こる顎関節雑音は、内耳に響くと耳鳴りを引き起こす場合があります。
また、顎関節症が悪化したことで、顎関節の骨格が崩れ、中耳の側頭骨を圧迫すると、内耳の三半規管に異常が起こり、めまいが生じる可能性もあります。
顔面や身体の歪みが起こる
「噛み合わせが悪い」
「痛みを避けるために片方だけで噛む」
などの状態が長く続くと、下顎の骨格が崩れてしまいます。
下顎の骨格が崩れると、口・目・耳の位置や大きさが左右非対称になるため、顔が歪んでしまうことも。
また、下顎は頭部を支えているため、下顎の骨格が崩れて頭部の重心がずれてしまうと、首・肩・背中・腰の骨格もずれ、全身に歪みが生じてしまいます。
精神的な症状が起こる可能性
どんな病気でも起こりえることですが、顎関節症も例外ではありません。
顎の痛みや生活への支障で大きなストレスを感じると、自律神経が乱れ、睡眠障害や体調不良などさまざまな不定愁訴と呼ばれる症状を引き起こす可能性があります。
その他の症状
下顎の骨格が崩れると顔全体のバランスが変化し、上記の症状以外に、以下の症状が生じる危険性もあります。
〇目:眼が疲れる、充血する、涙が出る
〇鼻:鼻が詰まった感じがする
〇口:歯の痛み、舌の痛み、味覚の異常、口の渇き、嚥下困難、息苦しさ
顎関節症にどう対応するのか?病院と整体院の違い
顎に違和感を覚えたらどうしたらいいのでしょうか?
病院がいいのか整体や鍼灸がいいのか?
何がいいのかわからない方も多い事と思われますので、それぞれの違いを説明します。
顎関節症に対する病院の対応
顎関節症になるとまず歯科が思い浮かぶのではないでしょうか?
一般的な歯科による対応はマウスピースを作るという事になります。これで改善される方もおられますし、改善出来ない方もおられます。
歯科は『歯』は専門ですが、顎関節は『関節』なのであまり対応してもらえない医院もありますので直接問い合わせてみるのがいいと思います。
歯を削って対応することだけは出来るだけ避けた方がいいと当院では考えています。
手術となると口腔外科になりますが、手術は最終手段にしたいと考える人の方が多いのではないでしょうか。
顎関節症に対する整体・鍼灸院の対応
整体院では姿勢を整え、歪みを調整し、顎への負担を減らしていきます。
顎関節症になった原因が歪みや姿勢からならその根本から改善しないといけないので
・骨盤
・腰椎
・胸椎
・頸椎
・横隔膜
・胸郭、肩甲骨
・肩関節
・肋骨
・頭蓋骨
・足関節
・肘
・膝
・全身の各筋肉の状態
のすべてをチェックします。
そして必要なところに最適な施術を行います。身体は全てつながっていてひとつです。
顎の歪みを調整しただけではまたすぐ戻ってしまうケースも多いので、全身が歪みなく快適な状態になることは顎にとっても非常に大切な事です。
自律神経が乱れて顎関節症になっているなら自律神経の調整が必要です。
また自律神経を乱す原因も解決していかないといけませんね。
まとめ
顎関節症は、初期症状がとても軽い場合があるので、ただの違和感として勘違いされ、放置されやすい傾向にある病気です。
はっきりと「おかしい!」と気付いた時にはもう重症化してしまっていることが多いため、「あれ?何か変だな?」というこの違和感を無視せず早めの対応をしましょう。
ほっておき過ぎると軟骨がすり減って元に戻れない状態になることもありますし、症状が顎以外の全身に及ぶことがあるため、早期発見・早期対応を意識して行動することが大切です。