腰が痛い時は安静がいいんですか?
腰が痛いから運動して鍛えたほうがいいんですか?
腰痛に対する対処法として、これは日頃よく聞かれる質問です。
結論から言うとその状況によって違います。
腰の痛みには、単純に腰の筋肉が痛いというものから
「腰椎椎間板ヘルニア」「坐骨神経痛」「すべり症」などによるものがあります。
どれが要因であっても「安静にすべきか、それとも運動をした方がよいのか」という目の前の問題が気になることでしょう。
ひと口に腰痛と言っても疾患名のついた腰痛などは特に慎重になってしまうと思いますので、今回は腰が痛いときに安静が良いのか、運動をした方が良いのかについて順を追って説明したいと思います。
「腰椎椎間板ヘルニア」「坐骨神経痛」「すべり症」はなぜ痛みを生じさせるのか
「安静か、運動か」の前に、腰の痛みの原因と解決法を理解して頂く方がわかりやすいのではと思います。腰痛がどのようにして起こるのかを知れば、安静と運動との関係も理解しやすくなるはずです。
腰椎椎間板ヘルニア・坐骨神経痛・すべり症の痛みはいずれも「炎症」が原因
腰痛を発生させる腰椎ヘルニア・坐骨神経痛・すべり症はいずれも、大まかな原因は「関節の歪み」です。
そして関節が歪むことで負荷が掛かり続けた周囲の組織に炎症が起こり、それが痛みとして現れます。
まずは整形外科へ行き、レントゲン撮影やMRIなどで正確な診断を受けて下さい。
原因がわかられば、なぜ自分が痛いのかわからないといった不安が無くなります。
この不安が無くなることは一つ重要なことです。
次に各症状で炎症の起こる過程を見てみましょう。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアは、腰の骨と骨の間のジェル状のもの(髄核・「ずいかく」と読む)が本来あるべき場所から飛び出てしまい神経を圧迫します。
この圧迫だけならまだ痛みは起こらないのですが、圧迫され続けた神経はやがて擦れて炎症してきます。この炎症が原因で痛みを発生させます。
近年では、飛び出た髄核が少量であった場合、免疫細胞がそれらを「食べる」ことで自然に消失するケースがあることも確認されていますので、髄核が小さくなってくれば時間の経過とともに炎症が治まり痛みが無くなっていきます。
坐骨神経痛
坐骨神経痛は、腰から足の先まで伸びる坐骨神経が何らかの理由で圧迫されることで、痛みやしびれを生じさせている状態です。原因は椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症・変形性腰椎症などがあり、上記の腰椎ヘルニアと同様、神経を圧迫し炎症を起こすことで痛みが発生します。
すべり症
すべり症は、ブロック上に積み重なる背骨の一部が、何らかの原因で正しい位置に納まらなくなり、結果として神経を圧迫して炎症を起こしてしまうことにより誘発される痛みです。
すべり症の多くの場合、背骨は背中側ではなくおなか側に飛び出てしまっています。背中側からの施術(マッサージなど)では元に戻りづらいので、痛みを発生させている背骨部分を包む筋肉を緩めて、本来の位置に誘導する方法が有効です。これは当院が得意とする施術法です。
腰の痛みには、安静?運動?
上記でも触れたように、腰の痛みは炎症から生じるものが多くあります。これをご理解頂ければ、以下のように考えるべきであることは納得いただけるでしょう。
急性期(痛みが生じてすぐの時期)
この時期は、とにかく安静です。
筋肉の緊張や当該部分の炎症を重症化させないことが一番の目的です。また、腰の痛みを何とかごまかすため、手足・体全体の動きが偏る「かばい動作」をしてしまう時期で、これを原因に症状の悪化・他の部位のゆがみや痛みが生じることも考えられます。
急性期には安静が第一です。
亜急性期(痛みの発症から1~2週間後)
腰の痛みが「激痛」を脱した頃、ようやく根本的な施術が行えるようになるのが一般的です。筋肉のこわばりを緩めながら、原因となる骨の周辺を元通りにする手技を用いた施術を行います。
ご自身での運動ではなく、専門家の手によるストレッチや施術の方がおススメです。この時期にご自身の問題にマッチしない運動をしてしまうと、症状が逆戻りしてしまう可能性がありますので、無理をしないことが大事です。
もしもご自身で行う場合、まずはリラクゼーションと簡単なエクササイズからスタートです。
〇リラクゼーション=仰向けになり、膝の下にクッションを置く/抱き枕を使って横向きになる
〇エクササイズ=仰向けになり、膝の下にクッションを敷いたうえで足先を左右に動かす/膝下クッションをしたまま、両手を床に沿わせながら少しずつ腕を広げる(角度を広くする)
回復期(日常生活ができるようになる頃)
日常生活に支障がなくなった頃に軽い運動を開始します。
鍛えるというよりも軽いウォーキングなど体を慣らしていくイメージで動かしていって下さい。
鍛えて治すという発想は、完全に痛みが取れてからがいいです。
その部位に効力を発揮するストレッチや運動法については、当院でもアドバイスをさせていただきます。
日頃の運動不足を自覚していて、別段腰痛になるような原因が思い当たらない人(ヘルニアもなど疾患名のつくものがない状態)
こういった方は腰を支える筋肉が弱って腰を支えられなくなり腰痛を引き起こしている可能性が高いです。
働き過ぎて、使い過ぎて、体を酷使した結果腰痛になることはよくあることですが
「何もしないから」
腰痛になることもあります。
こういった場合は筋肉を鍛えれば回復します。
腹筋、お尻周りの筋肉、背筋などが弱っていることが多いですが、やり過ぎない程度にウォーキングや自転車こぎなどから始めてみてください。
もちろんヨガや近くの体操教室に通ってみるのもOK.
健康のために頑張ろう!とあまり意気込まず
「気持ちいいなぁ」「血行が良くなって快適だなぁ」
と感じる程度に体を動かしてみてください。
女性に多いパターンとしては腹筋が弱くて前で腰を支え切れず、反り腰になってしまい腰痛に繋がっているケースは多くみられます。
このケースは中年以降すべり症という腰痛の原因になりやすいのでご注意下さい。
【結論】激痛時は安静、痛みが和らいできたらストレッチやウォーキングから始める
上記のように、腰痛の原因は何種類かに分かれます。また、痛みの段階がどのような状態なのかにもよって必要な“養生法/対応法”は変わります。
当院では、特に腰椎ヘルニアや坐骨神経痛、すべり症を得意としており、実際そのような患者さまが多くいらっしゃいます。
体の状態を観察するために一番大切なのは、体の状態をしっかり「判断する」ことです。
多くの腰痛患者さまに触れてきた中で、様々なケースへの対応策と施術法を準備しております。
患者さま一人ひとりの身体的条件は異なります。その声をしっかり手で読み、必要な施術とアドバイスを行います。
もしも腰痛がひどく出かけるのも困難という状態であれば、一度お電話ください。
ご相談の中で今最も必要な事は何なのかを推測し、アドバイスさせていただきます。
必要であれば同様のケースの患者さまの事例をお伝えできるかもしれません。
まとめ部分
大切なことですので、今一度シンプルにまとめてお伝えします。
- ネットや知人の情報で安静/運動を決めない=腰痛の原因と状態は人それぞれ
- 症状がきつければまずは病院で検査を受ける(ヘルニアやすべり症などがないか)
- 痛みがひどいうちは安静に
- 痛みが軽くなってきたら=ストレッチやマッサージで凝り固まった当該部位を和らげる
- ほぼ痛みがなくなってきたら=腰痛再発防止のために軽く動き始める。
- 鍛える発想は完全に痛みが無くなってから
以上、参考になりましたでしょうか。
腰が痛くてこのページを見られた方の
一日も早い復帰をお祈りしております。