ストレスフリーといっても、日々のストレスを「ゼロ」にすることがストレスフリーなのではありません。
昼間にバリバリ働いてストレスが多くても、夜にはリセットして解消していく。
そのように、ストレスと上手な付き合い方ができ、ストレスをため込まない人の事を
【ストレスフリーな人】
といいます。
大事なのは、
「寝ているときにストレスがない状態になっている」ということ。
「次の日にストレスや疲れが持ち越されていない」ということ。
この2点です。
そのための「不安やストレスへの対処法」をお伝えしていきます!
睡眠不足を解消する
睡眠不足のデメリットは??
睡眠不足が良くないと知っていても、本当の睡眠不足の恐ろしさを知っている人は少ないと思います。
睡眠不足のデメリットは大きくは3つに分けられます。
①病気になる(寿命が縮む)
睡眠が6時間以下の人は、そうでない人と比べると、がんが6倍、脳卒中が4倍、心筋梗塞が3倍、高血圧が2倍、糖尿病が3倍、風邪が5倍のリスクがあるそうです。
死亡率が5.6倍も上がるという研究結果もあるそうです。
若い頃は大丈夫と思っていても、その時の睡眠不足が10~20年後に「生活習慣病」として出てくる可能性があります。
②仕事のパフォーマンスが低下する
睡眠を削ると、脳のパフォーマンスは劇的に下がります。
6時間睡眠を14日間続けると丸2日徹夜状態と同じぐらいの認知機能になります。
本人は感じていないかもしれませんが、毎日6時間睡眠の人は徹夜明けの状態と同じぐらいのパフォーマンスしか出ていないのです。
③太りやすくなる
睡眠不足の人は、猛烈に食欲がアップしてしまうため、1日385キロカロリー余分に摂取しているといわれています。
睡眠不足によって、食欲増進ホルモンであるグレリンの分泌が増え、食欲抑制ホルモンのレプチンが減ります。
睡眠不足になると、体は危険性を感じて、必死でエネルギーを蓄えようとします。
痩せたければ、まずは睡眠不足を解消する必要があるかもしれません。
必要な睡眠時間は??
さまざまなデータや研究があるので、色々と言われていますが、必要な睡眠時間は質の良い睡眠を7時間以上というのが一つの答えです。
あるアメリカの大学で行った研究では、睡眠時間「6時間半~7時間半」の人が最も長生きしているそうです。
それより短くても、長くても死亡率は高まります。
睡眠は質か量か??
結論から言うと、両方大事です。
睡眠で重要なのは質ですが、睡眠時間が短ければ、良くはないですよね。
睡眠の質は朝に目覚めたときの気分でわかります。
睡眠の質が高い人は、目覚めがスッキリしていて、気分は清々しく、前日の疲れも回復し、「今日も一日がんばろう!」と意欲に満ち溢れています。
アラーム無しで自然に目が覚めるのも良い睡眠の特徴です。
一方で、質の悪い人は、朝起きるのが辛い人です。
もっと寝ていたいと感じ、疲れが取れず、仕事に行きたくないと思ってしまいます。
寝つきが悪かったり、夜中に何度も目が覚めたり、日中に強い眠気がある人も、睡眠の質が悪い人の特徴です。
睡眠に悪い習慣をやめる
睡眠の質を上げるには、寝る前の脳をリラックスさせる事が必須です。
脳が興奮状態で布団に入る事をやめなくてはいけません。
そのためには、「寝る前の2時間」の使い方を見直すことです。
ブルーライトを浴びない
ブルーライトとはスマホやPC、蛍光灯から発せられる光の事です。
ブルーライトとは青空の波長、昼に出る光の波長です。
一方で、従来型の電球の赤っぽい光は夕焼けの波長です。
なので、ブルーライトを浴びると、脳が「今は昼だ」と誤認し、睡眠物質のメラトニンの分泌を抑制してしまいます。
飲酒・食事をやめる(寝る2時間前)
飲酒は、寝付くまでの時間を若干短縮しますが、トータルの睡眠時間も短縮させてしまいます。
「睡眠時間の短縮」と「早朝覚醒」がアルコールの薬理効果なのです。
飲酒の習慣のある人で、眠りが悪いという人は一度禁酒をしてみても良いかと思います。
また、寝る前2時間以内の食事は睡眠の質を低下させます。
食事により、疲労を回復させてくれる成長ホルモンが出にくくなる事が原因の一つです。
成長ホルモンは血糖値を上げる効果があるため、血糖値が高い状態だと分泌されにくくなります。
良い睡眠には成長ホルモンも分泌が重要です。
興奮系の娯楽を控える
興奮系の娯楽とは、ゲーム・映画・ドラマ・漫画・小説などです。
ゲームをしていて深夜になっても眠気が来ないのは、興奮物質のアドレナリンが出ているからです。
アドレナリンが分泌されると、交感神経優位な状態となり、心拍数や血圧も上がり、興奮状態になってしまします。
良い睡眠には、逆に副交感神経優位のリラックス状態が理想です。
睡眠の質をさらに上げる方法
正しい入浴をする
入浴こそがぐっすり眠るための最も重要な方法だとおっしゃる大学教授もいらっしゃいます。
深い睡眠に入るためには、体の深部体温が下がることが必須です。
風呂から上がると体温が徐々に低下し、90分経つと深部体温が下がった状態になり、成長ホルモンもたっぷり分泌されるそうです。
寝る90分前にはお風呂から上がれるようにしましょう。
運動をする
1週間に150分の運動を行うことにより、睡眠の質が65%改善、日中の眠気が65%減少、日中の疲労感や集中力も45%改善したという研究結果もあります。
1日20分程度の運動(早歩きも可)で睡眠の質が改善するといわれています。
45~60分以上の中強度の運動を週2回以上行うとさらに効果的です。
照明と室温を整える
ルーライトは睡眠の大敵です。
蛍光灯もブルーライトを発するので、白熱電球もしくはLED電球の「電球色」に変えましょう。
寝るときは、真っ暗な環境で眠ると、最も睡眠の質が良くなります。
豆電球をつけて寝るのも避けましょう。
わずかな光でも、睡眠物質のメラトニンを抑制してしまいます。
室温もかなり重要です。
快適に眠るための室温は、夏は25~26度、冬は18~19度だそうです。
18~19度は少し肌寒いですが、深い睡眠に入るためには深部体温が下がる事が必須です。
風邪をひかない程度に涼しい環境で眠ると良いです。
寝る前2時間のリラックスルーティン
最低限の環境を整えたら、次はさらに睡眠の質を高める方法を実践しましょう。
それが、「寝る前2時間をリラックスして過ごす」という事です。
運動不足の対処法
運動不足のデメリット
運動不足は体に悪い、という事はなんとなく予想できるとおもいます。
とはいえ、実際にどのくらい悪いのかを具体的に言える人はほとんどいません。
そこで、運動による健康への効果をまとめてみました。
- 全死亡率 30~50%減
- 心臓疾患 27~60%減
- 全がん 30%減
- 乳がん 30%減
- 結腸がん 50%減
- 糖尿病 58%減
- うつ病 12%減
- 認知症 30~50%減
このように、たくさんの研究の成果を紹介しましたが、つまり、週150分程度の運動だけで、これだけ主要な疾患のリスクを30~60%減らせられる可能性があるということです。
運動の計り知れない効果
運動の効果は、病気の予防とダイエットだけに限りません。
それらは運動の効果の一部にしかすぎません。
表に運動の計り知れない効果をまとめてみました。
このように、運動の効果は体への効果以外にも、頭が良くなる・仕事のパフォーマンスが上がる・感情が安定する、などの効果が得られる可能性があります。
運動だけでも悩みや不安が解決・改善される可能性があります。
体を動かす事で幸福物質のドーパミンが分泌され、幸福感が得られます。
ぐるぐると悩んで、考え込んでいるときに、まずすべきことは、運動なのです。
運動がはじめられない理由
そうはいっても、「時間に余裕がない」「めんどうだ」という理由で運動を始めない人はたくさんいるでしょう。そういう人は「まとまった時間が無いと運動できない」と思い込んでいるのです。
世界保健機構(WHO)の必要な運動量についてのガイドラインによると、「ウォーキングなど、中強度の運動を週150分。またはランニングなど、激しい運動を週に75分」という基準を出しています。
そして、「早足で歩く」というのも中強度に含まれます。
つまり、1日約20分だけ早足で歩くことができれば、必要最低限の運動量を満たせるという事です。
実際、アメリカのある研究所の研究結果は週150分の早歩きによって4年半もの寿命を延ばせることを示しています。
そう聞くと、グッとハードルは下がりませんか??
スキマ時間を運動で埋める
わざわざジムに通ってハードな運動をしなくても、日々の生活で少しだけ気を遣うだけで、十分に運動の効果は得られます。
まとまった時間の取れない忙しい方用に、スキマ時間で確実に効果が出る運動を紹介します。
①早歩きで通勤
ゆっくりと歩くのではなく、早足で歩くことが必要。電車通勤なら、自分が降りる駅よりも一つ手前の駅で降りて家まで歩くのがおススメ。
②早足で階段を昇る
エスカレーターから階段に変えるだけで、かなりの運動量になる。
③立ったついでにスクワット
椅子から立ち上がった時にスクワットを10回しましょう。
④外食ランチ
5~10分くらい離れた場所でご飯を食べましょう。早歩きで往復10~20分くらいの運動ができます。
⑤家事
掃除、部屋の片づけ、洗濯などの家事も運動です。
このようにちょっとした工夫で運動時間を簡単に捻出することが出来ます。また、1日10分しか運動できなかったとしても、がっかりする必要はありません。「週150分」を満たしていなくても、1日10分の運動をしている人は死亡率が30%も減るという効果が実証されているようです。
とにかく短くてもいいから、まずは始めてみるという事が大事です。
理想的な運動を継続する方法
理想の運動とは??
「1日20分の早歩き」は最低限の運動です。それがクリア出来たら、もっと本格的な運動をしていきましょう。
理想の運動について、次の4項目にまとめてみました。
- 中強度以上の運動(1回45~60分以上、週に2~3回以上)をする
- 有酸素運動と筋トレを組み合わせる
- 複雑で頭を使う運動を取り入れる
- ほどほどの量にして、やりすぎない
①中強度以上の運動をする
運動習慣のない人には5~10分のスキマ時間の活用がおススメですが、やはり30分以上のまとまった時間で運動をした方が効果は高まります。
それは、有酸素運動をはじめてから20~30分経つと成長ホルモンが分泌されはじめるからです。
成長ホルモンは、脂肪燃焼・睡眠の質向上・疲労回復・免疫力アップ・美肌効果など、体に良いことだらけの物質です。
また、運動をはじめて最初のうちは、糖がエネルギーとして使われるため、脂肪は燃えません。
成長ホルモンにも脂肪燃焼効果があるので、30分を超えてから本格的な脂肪燃焼がはじまります。
ですから、30分未満の運動しかしない人はほとんど痩せない場合があります。
運動強度も中強度かそれ以上がベストです。
中強度とは早歩きやスロージョギングの程度です。
ハードではないけれど、終わった後に軽く汗をかいているイメージです。
②有酸素運動と筋トレを組み合わせる
運動には、有酸素運動と無酸素運動の2種類があります。
どちらが必要かというと、「両方」です。
有酸素運動とは、ウォーキング・ジョギング・水泳・サイクリングなど呼吸しながら行う運動です。
無酸素運動とは、筋トレ・短距離ダッシュ・ウエイトトレーニングなど呼吸を止めて行う運動です。
有酸素運動と無酸素運動は、その効果が異なってきます。
有酸素運動は脳の活性化効果、脂肪燃焼効果などがあります。
無酸素運動は、筋肉や骨を鍛えたり、基礎代謝を高めるなど、体の基盤を作る効果があります。
そして、2つを組み合わせる事で、効果は掛け算となります。
別々に行うのではなく、同日に行うとより効果的です。
たった1分間のスクワットだけで、成長ホルモンが活発に分泌されたという研究もあるそうです。
ハードな無酸素運動であれば、5~10分くらいでもかなりの成長ホルモンが分泌されます。
有酸素運動だと、20~30分かかるところが、筋トレだと数分で成長ホルモンが出るのです。
つまり、有酸素運動をするまえに筋トレを行うことで、ジョギングのスタート直後から脂肪燃焼ができ、運動効果が飛躍的にアップします。
筋トレが好きな人は筋トレばかり、ジョギングが好きな人はジョギングばかりをする傾向がありますが、もったいないのです。
組み合わせる事で、運動効果は倍以上になるといわれています。
③複雑で頭を使う運動を取り入れる
有酸素運動をすると脳が活性化し、脳の神経ネットワークを増やす物質のBDNF(脳由来神経栄養因子)が分泌されます。
つまり、頭が良くなる物質が出ます。
同じ運動量をこなしても、単純な運動の反復よりも、複雑な運動をこなした方が、よりBDNFが分泌されるとされています。
たとえば、ウォーキングマシンで走っていると単調で飽きてきますが、屋外を走れば、景色も変わり変化を感じます。
山の中の道なき道を走るトレイルランという種目は、脳の活性化にもっとも効果的な運動の一つとされています。
複雑で変化があり、難しいと感じる運動が、より脳を活性化させるので、「ダンス(エアロビクス)」や「格闘技」などもそれらの条件を満たします。
④ほどほどの量にして、やりすぎない
運動量は多ければ多い程いい気がしますが、それは間違いです。
「毎日強度の高い運動する人」は「週2~3回運動する人」に比べて、心臓発作・脳卒中が2倍になってしまうという研究結果があるそうです。
また、運動量ごとの死亡率を調べた研究では、中等度の運動をした人が最も長生きで、次いで軽度の運動です。
重度の運動をした人は軽度の運動をした人より死亡率が高いという皮肉な結果がでています。
健康的という観点では、中強度程度の運動なら毎日でも良いですが、極めて強度な運動を毎日するのは、良いとは限りません。
運動は、適度に行うのが最も健康的なのです。
あなたの運動が続かない理由
一番大変なのは運動を続けるという事です。
ジョギングはしてみたけど3日も続かなかった、スポーツジムの会員になったけど全然行けていない。
という人が多いです。
人間、「楽しい」ことは続けられますが、「楽しくない」ことは続けられません。
「楽しい」とドーパミンが出て、「つらい」「苦しい」とストレスホルモンが出ます。
続けられないほとんどの人は、運動をつらい・苦しいと思っているか、楽しいと感じられていないから続けられないのです。
特に、ダイエット目的で運動をする人は続けるのが難しいようです。
なぜならば、ダイエット効果は簡単に出ないからです。
1か月ジョギングして体重が1㎏も減らなかったら、がっかりしてモチベーションも下がってしまいます。
同様に、「1か月で3㎏痩せる」「毎朝必ず1時間ジョギングする」というように、大きな目標を設定したがる人も、絶対に続きません。
また。ジョギングのように自分一人でやる運動は、いつでも始められるという反面、いつでもやめられます。
それらのやめたくなる理由を乗り越えなくてはなりません。
楽しめる理由を取り入れる
運動が続かない理由が明確になったら、あとはその理由を1個ずつ潰していけば、運動が続けられるようになります。
まず、自分にとって楽しめるものを見つけましょう。
「ランニングや筋トレなど一人で淡々とやる運動が好き」
「ヨガやダンススクール形式でみんなでするのが好き」
「球技でみんなと競い合うスポーツが好き」
というように、いろいろな種目から、自分に合った楽しめる運動を見つける事が大事です。
とはいっても、根気のない人が一人ではじめると、大抵は挫折してしまいます。
夫婦や友達、恋人などと一緒にはじめるのがおススメです。
また、運動が終わった後に、「ああ、今日もスッキリした」とつぶやいてみましょう。
たったそれだけでも運動に対するモチベーションが変わります。
運動の最中は「きつい」「苦しい」のですが、終わった後は、だれでも「爽快感」や「達成感」に包まれるはずです。
「いやぁ、爽快だなぁ」「いい汗流した」「これだけ頑張れてすごいなぁ」と口に出しましょう。
その結果、運動後の「爽快感」「達成感」を期待して、また運動がしたくなるものです。
本当に健康にいい食べ物はどれなのか?
科学的に「健康にいい食べ物」は5つだけ?!
科学的に健康にいいとされている食べ物は何でしょうか?
健康にいい=脳卒中や心筋梗塞、がんなどのリスクを下げられる可能性があるモノと仮定すれば、代表的な健康にいい食品は、
魚
野菜と果物(フルーツジュースとじゃがいもは含まない)
茶色い炭水化物(玄米・蕎麦・全粒粉のパン)
オリーブオイル
ナッツ類
です
逆に健康に悪いと考えられている代表例が、
赤い肉(鶏肉は含まず、ハムやソーセージなどの加工肉は特に悪い)
白い炭水化物(白米・うどん・パスタ・小麦粉のパン)
バターなどの飽和脂肪酸
です。
それらは下記の表のように、5つのグループに分けられます。
※あくまでも、健康にいい=脳卒中や心筋梗塞、がんなどのリスクを下げられる可能性があるモノと仮定した場合
健康に悪い3つの食品を避けて、健康にいい5つの食品を増やすのが、科学的に健康な食事法です。
白米より玄米、肉よりも魚、バターよりもオリーブオイル、間食にナッツ類。
という食事が、科学的根拠に基づいた健康的な食事と言えます。
白米が「健康に悪い食品」に分類されているのは意外ですが、精製した白米は栄養や食物繊維などが一部取り除かれてしまい、また血糖値も上昇しやすいため、摂りすぎると糖尿病のリスクが高まります。
玄米は、ビタミン・ミネラル・食物繊維を豊富に含んでおり、人間が健康を保つために必要な栄養素のほとんど(ビタミンC以外)を摂取できるため、「完全栄養食」といわれています。
玄米は硬いや炊飯時間が長くかかるというイメージがありますが、白米と比べて水を2~3割多く入れて、一晩給水させると、普通の炊飯器で白米とさほど変わらない柔らかさに炊くことができます。
他にも、健康にいい可能性が示唆された食品は
ダークチョコレート、コーヒー、納豆、ヨーグルト、酢、豆乳、お茶
が挙げられています。
糖質制限は健康にいいのか悪いのか
ブーム?になっている糖質制限ですが、健康にいいのか悪いのかは、良く議論されるテーマです。
「厳しい糖質制限は死亡率を高める」という研究は、以前からあったようです。
45歳~64歳の約1万5000人のアメリカ人を25年間追跡したところ、総摂取カロリーに占める炭水化物の割合が50~55%の時に最も死亡率が低く、それより多くても少なくても死亡率が高くなるということがあったそうです。
糖質の摂りすぎが健康に悪いのは当然として、糖質を厳しく制限することも、健康にとって良くないのです。
糖質制限ダイエットは痩せるという意味では効果があるのでしょうが、健康的なダイエットとはいえません。
ある調査によると、日本人の40%以上の人が、1日の糖質摂取量の目安とされる300グラムをオーバーしているという結果があります。
糖質過剰な人にとっては、ある程度の量を減らす、適正な糖質制限が必要といえます。
悪い糖質をやめる
1日に糖質を何グラムとればいいのかという「量」についての議論もありますが、それ以上に重要なのは、どのような糖質をとるかという「質」です。
糖質の摂取量やカロリー値ではなく、「血糖値の上がりやすさ」が重要です。
血糖値が急激に上がると、インシュリンの分泌が増えます。
インシュリンは糖を脂肪へと変える作用があるので、太りやすくなります。
また、インシュリンの分泌が頻繫になると、膵臓のインシュリンを作る細胞が疲弊し、インシュリンを出しにくくなったりします。
それが糖尿病の一つの原因です。
ですから、「糖質の摂取量を減らす」ことより、血糖値を上げやすい「悪性度の高い糖質」をやめることが重要です。
悪性度ナンバー1の糖質は、「缶コーヒー、清涼飲料水、ジュース」です。
缶コーヒー1缶には角砂糖3~4個分、甘いカフェオレだと角砂糖10個分以上の糖質を含んでいるものもあります。
コーラ1缶は角砂糖14個分、健康に見える野菜ジュース1本にも角砂糖3.5個分ほどの糖質が含まれています。
液体だと吸収が早いので、一気に血糖値が上昇します。
砂糖の入ったお菓子もなるべく避けましょう。
主食は白い炭水化物である白米や白いパンを避けて、玄米や全粒粉のパンなどの茶色い炭水化物を摂ると、血糖値の上昇が抑えられて健康的です。
いい間食をとる
イライラしているときは「低血糖」になっている可能性が高いです。
脳はブドウ糖をエネルギー源とし、全エネルギー消費の20%を脳が占めます。
低血糖気味になると、脳のパフォーマンスを下げるので、午後の間食などは必要な食事と言えます、
間食といっても、小分けのお菓子を1つか2つつまむぐらいならいいですが、食べ過ぎてしまうと逆効果です。
血糖値が一気に上がるとインシュリンが分泌され、今度は血糖値が一気に下がります。
そうすると再び血糖が低くなってしまいます。
おススメの間食は「ナッツ」です。
ナッツは科学的に証明された健康にいい食べ物の一つです。
ナッツを習慣的に食べると、30年間の全死因死亡率が20%も下がり、心臓疾患や糖尿病のリスクも下げます。
ナッツはカロリーが高いと敬遠する人もいますが、ナッツを週2回以上食べた人は、そうでない人に比べて、体重が増加する確率が31%低いという研究結果もあります。
ナッツは脂質が主成分な上に食物繊維も多いので、吸収が遅く、血糖値が上がりにくいです。
つまり、徐々にエネルギーを補給してくれるので、間食に最適なのです。
適切なナッツの摂取量は、28~57グラムと言われています。
手に一握りのナッツが約30グラムです。
健康的に痩せる食事法
「ダイエット」=「健康」とは限らない
様々なダイエット法に目を通すと、本に書いてあることが真逆であることは珍しくありません。
どのダイエット法や食事法を信じていいか、勉強すればするほどわけがわからなくなるのも無理はありません。
「ダイエット」や「筋肉をつける」を目的にすると、一時的な結果は出るかもしれませんが、長期的に実践すると、健康にいいとは限らないのです。
ここでは、ストレスフリーな人になる為という視点で「食事」「ダイエット」についてみていきましょう。
「やせ」は健康ではない??
「やせ」と「肥満」、健康なのはどちらでしょうか?
「やせ」のほうが健康にきまっている。と思うかもしれませんが、実はこれ間違いなのです。
BMIという概念があります。
体重と身長から計算できる、肥満・やせの世界基準の指標です。
BMIの基準値は「22」です。
「22」に近ければ、高血圧・糖尿病・心筋梗塞などの有病率が最低になると言われています。
しかし実際にBMIと寿命の関係をみてみると、最も長生きするBMIの数値は、日本や東アジアの研究で「24~27」、欧米の研究では「25~29」が多いです。
BMIを計算してみましょう。
BMI=体重(㎏)÷(身長(m)×身長(m))
状態 | BMIの指標(WHOの基準) |
痩せすぎ | 16未満 |
痩せ | 16~16.99 |
痩せ気味 | 17~18.49 |
普通体重 | 18.5~24.99 |
前肥満 | 25~29.99 |
肥満(1度) | 30~34.99 |
肥満(2度) | 35~39.99 |
肥満(3度) | 40以上 |
日本肥満学会による基準では、「18.5~25未満」が普通、「25~30未満」は肥満(1度)となるので、普通の上限から肥満(1度)の下限の人が長生きしています。
つまり、プチ肥満・普通・やせ・過度の肥満の順で長生きするという事になります。
世の中、脂肪=悪という考え方が強いですが、医学的には体脂肪=免疫力とも考えられています。
脂肪が少なすぎるという事は、免疫力が弱いとも考えられるので、当然病気にかかりやすく、病気に対する抵抗性が弱く、長生きできなくなります。
一口に体重と言っても、筋肉と脂肪の割合も重要です。
同じ体重でも、しっかりと筋肉があって脂肪がついている「太マッチョ」とただ脂肪だけで太っている人では、健康度は大きく変わります。
当然、後者は最悪です。
プチ肥満であっても、血圧が高い・血糖値が高いなど、高血圧や糖尿病の予備軍にあたる人は健康とはいえません。
極度の肥満が健康ではないのは当然として、「やせ」も健康とはいえないのは覚えておきましょう。
肥満が不健康はチャラにできる
標準体重で運動しない人と肥満で運動する人を比べた時、じつは後者の方が健康的です。
ある大学の研究では、肥満で運動する人は標準体重で運動しない人の死亡率の半分という結果がでているそうです。
普通体重と肥満では誰もが肥満のほうが不健康と思うかもしれませんが、一番の不健康は運動不足なのです。
肥満でも運動の習慣を適切に維持していれば、肥満のリスクは消失してしまう。とも言われます。
危険因子別の死亡数によると、「運動不足」は年間5.2万人の死亡に対して、「過体重・肥満」は1.9万人と、3分の1程度にとどまります。
「肥満」よりも「運動不足」は3倍近くも危険率が高まります。
朝食は善か悪か?
朝食が健康にいいかどうかは、さまざまな研究がされており、議論されます。
「朝は食べない方が1日のパフォーマンスがずっとよい」「空腹な午前中だけで1日の大半の仕事を終わらせることができる」という人であれば、食べなくても別にかまわないでしょう。
しかし、次の項目に当てはまる人は、朝食を摂った方がよいかもしれません。
朝食を摂るべき人の特徴
- ぐっすり眠れておらず、朝の寝起きが悪い
- 朝はボーっとしてパフォーマンスが悪い
- 始業から調子が出るまでに時間がかかる
- 朝から憂うつである
- 睡眠障害で睡眠薬を飲んでいる
朝の習慣に関するある調査によると、「ぎりぎりまで布団を出たくない」という人が49.7%いたそうです。
「朝に弱い人」は、朝食を摂るだけで体調が改善し、今よりよくなる可能性があります。
朝は、1日の中で最も血糖値が低い「低血糖」の時間帯です。
低血糖になると、頭がボーっとして集中できません。
午前中の調子が悪い人は、単に朝食を摂らないことによる「低血糖」なのかもしれません。
メンタル的にみると、朝食は、体内時計のリセット、副交感神経から交感神経への切り替え、セロトニンのスイッチをオンにする、など快適な1日のスタートに必要な役割を持っています。
朝食によって、脳や消化管が、「これから1日が始まる」ということを理解して、脳や体の動きが活発になるのです。
特にメンタルに不安を抱えている方は、朝食を食べていない方が多いようです。
朝食を抜くことで、体内時計や自律神経が乱れてしまう原因となることがあります。
メンタルに不安が無い方でも、「午前中からバリバリ仕事をしたい、運動をしたい」という人は朝食を摂った方がいいでしょう。
ちゃんとした食事でなくとも、スープ1杯、バナナ1本でも「体のスイッチをオンにする効果」は得られます。
よく噛んで食べる
ここまで、「やせ」や「食事制限」のデメリットについて多く述べてきましたが、じゃあダイエットはすべきではないのでしょうか?
そうではなく、健康的なダイエット法があります。
それが、「よく嚙んで食べる」「時間をかけて食べる」ということです。
同じ食べ物を同じ量だけ食べても、よく嚙んで、時間をかけて食べるだけで、ダイエット効果が得られるのです。
「早食い」は太ると言われていますが、それは急いで食べる事で、一気に血糖値が上がるからです。
それによりインシュリンが分泌されて糖は脂肪に蓄えられ、太りやすくなります。
ゆっくり食べるだけで、吸収と血糖値上昇が緩やかになり、太りにくくなります。
また、噛むことで、脳の満腹中枢が刺激されるので、満腹になりやすいというメリットもあります。
過度の食欲が抑えられ、食べすぎを防止します。
「咀嚼」によってセロトニン神経が活性化されるので、朝食をよく噛んで食べる事で、最高の1日をスタートさせることができます。
一口30回噛んで食べるようにしてみて下さい。
やってみると大変ですが、食事量を減らしたり、我慢したりするダイエットよりも何倍も簡単です。
ぜひ取り組んでみてください。