自律神経とは、本人の意思とは関係なく体のさまざまな機能をコントロールする神経系のこと。
意識をしなくても呼吸をしたり、心臓が鼓動を打って血液を循環させたりするのは、自律神経が働いているからです。
この自律神経が乱れると、身体のさまざまな部位の活動のバランスが崩れてしまい、不眠をはじめとするあらゆる症状を引き起こします。
ここでは、自律神経の乱れによるさまざまな症状や、不眠の改善方法についてご紹介していきます。
自律神経を整えると不眠が解消する理由
入眠や睡眠の継続が難しくなる睡眠障害の「不眠」。
実は、自律神経のバランスが崩れることでも引き起こされます。
自律神経が睡眠に及ぼす影響とは?
人が眠くなる原因は、自律神経の働きによってメラトニンというホルモンが分泌されて起こるもの。
自律神経が通常に働いている場合は、昼に日光などを浴びることで体内時計がリセットされ、十数時間後にメラトニン分泌量が増加して、自然に眠くなります。
一方、自律神経の働きが悪いと、体内時計が狂ってしまったり、メラトニンの分泌量が不十分となり、睡眠に入りづらくなったり、睡眠が継続できないなど、睡眠の質が低下するのです。
副交感神経を優位にすると眠れる?
自律神経は、体や精神の状態を興奮・緊張させる働きを持つ交感神経と、リラックスさせる副交感神経にわかれます。
主に起床時には交感神経が働きが強まり、睡眠時に副交感神経の働きが強くなります。
交感神経が優勢になると、拍動の促進、気管支の拡張、消化器官の抑制、血管の縮小などが生じます。
副交感神経が優勢になると、拍動の抑制、気管支の収縮、消化器官の促進、血管の拡張などが生じ、体が睡眠時の活動状態に近づくのです。
眠気をもたらすメラトニンの分泌は、副交感神経の働きが弱まる日中に低下し、夜になり副交感神経の働きが活発になると増加します。
このサイクルは概日リズムと呼ばれる明暗の周期によって調整されているため、日中に光を浴びてこのリズムを正していると、夜になって自然に副交感神経が優勢となって、質の高い睡眠を得やすくなります。
自律神経を整えて行う安眠方法9選
めまいや頭痛など「自律神経失調症かもしれない」と、思えるような症状を感じたときには、これからご紹介するような方法を日常生活に取り入れて、体のバランスを取り直すことを考えてみましょう。
睡眠環境を整える
規則的で質のよい睡眠を得るために、寝室を暗くし、騒音を減らすよう心がけるといいでしょう。
寝室を明るくしたまま寝ると生体リズムを崩す原因となるため、深い眠りに入りにくく睡眠の継続を妨げる原因に。
また、騒音も眠りの継続や、レム睡眠、ノンレム睡眠を繰り返す睡眠周期を妨げることにつながります。
パジャマを早い段階から着るのも一手です。
パジャマ=寝るもの
とイメージの決まったものを着ることで無意識に睡眠モードに入りやすい人もいます。
寝る直前に何かするのではなく、夜8時や9時頃から準備していくのです。
カフェインの取り方を考える
カフェインの摂取は中枢神経を刺激し、覚醒作用と呼吸量の増加、熱発生効果などを起こします。
これらの効果は摂取後3時間程度継続するとされており、睡眠の3~4時間前以降はカフェインの摂取は控えた方がいいでしょう。
逆にカフェインを取るなら午前中にしっかり取り、お昼以降は取らないという手もあります。
午前中のこれから一日しっかり働く時間帯にハッキリ覚醒しておき、その後は労働した疲労で自然に休息に向かっていく。
休息へ向かう準備をするため午後はコーヒーは無し。
コーヒーを飲みたい方は午前中だけ複数杯飲みましょう。
ブルーライトを避ける
ブルーライトとは、可視光の紫色から青色に相当する波長の光のことで、生体リズムをリセットする働きがあります。
通常は日中に太陽光を浴びることで生体リズムがリセットされますが、テレビやスマホに含まれるブルーライトを夜間にも長時間浴びていると、生体リズムを崩してしまいます。
フルーライトカットの備品は色々と販売されていますので一度チェックしてみて下さい。
確かに眼精疲労はいくらかマシになりますよ。
夕食の時間を考える
食事をすると眠くなりがちですが、夕食直後の就眠は、睡眠の質を落とす原因につながります。
睡眠時にお腹に飲食物が入っていると体は「消化」という労働をしないといけないからです。
睡眠時は不要な負荷を極力なくし、一日の疲労を回復することに費やしたいものです。
ですので寝る3時間前には夕食を終わらせるように注意しましょう。
暴飲暴食を控える
先ほどの続きになりますが、夕食の時間を変えても暴飲暴食をしては意味がありません。
胃の中に一気に入ってくるたくさんの食べ物は、消化するのに時間がかかり、胃の中に停滞します。
胃の中で停滞した食べ物は熱となって、その熱量が睡眠を妨げることになります。
なかなか寝付けない夜、暴飲暴食をしていたという方も多いかもしれませんね。
入浴をする
入浴直後は体温が上がっており交感神経が優位ですが、体温が下がるともに副交感神経の働きが高まります。
入浴後に副交感神経が高まるタイミングに合わせて眠気を感じるようになるため、このタイミングに合わせて入浴すると、睡眠の質を高められるでしょう。
スタンフォード大学式睡眠法によると就寝の90分前に40度のお風呂に15分入ると最もよい睡眠を得られるというデータがあります。
アルコールを控える
アルコールには催眠効果があるため、寝酒を飲んで就寝される方もいるかもしれません。
しかし、体内のアルコール濃度が低下すると催眠効果の反動で早く覚醒する場合があり、睡眠の質を下げてしまいます。
寝つきはいいが起きてしまうことが多いようです。
腹式呼吸で呼吸を整える
呼吸器系の働きも自律神経と大きく関係しています。
呼吸は自律神経によってコントロールされていますが、意識的にもコントロールできるため、自律神経の調整に効果的。
ゆっくりと時間を掛けて腹式呼吸をするとリラックスした状態を作り、交感神経の働きを抑え、副交感神経優位の状態に切りかわりやすくなります。
ぜひ、腹式呼吸法を取り入れてみてくださいね。
ストレッチや軽い運動をする
ストレッチや軽い運動を行うと入浴と同様の体温上昇効果が得られます。
運動の後には、交感神経の働きが低下するのに合わせて副交感神経が優勢となるため、睡眠に入りやすくなります。
睡眠前に軽めの運動をするといいでしょう。
まとめ
自律神経と生体リズムはお互いに影響を与え合っており、自律神経のバランスがくずれると生体リズムも崩れ、生体リズムを正す行動をとると自律神経のバランスも修正されます。
睡眠は体と精神の疲労を回復する効果がありますが、ストレスや肉体的なダメージによる自律神経の活動の低下によって、睡眠の質が低下してしまうこともあるので注意が必要です。
睡眠不足を放置すると、身体だけでなく心のバランスも崩してしまう可能性があります。
睡眠の質や心身の不調を感じている方は、今回ご紹介した方法で、睡眠の質と自律神経のバランスを取り直すよう、意識してみてはいかがでしょうか。