アトピー性皮膚炎で典型的な肘や膝の湿疹以外に 「別の皮疹」が出ることも多いです。
典型的な場所、典型的な様相でなくてもアトピー性皮膚炎と考えられるものがあります。
① かさかさ・鳥肌
冬季に目立ちます。単に肌がうろこ状に目立ったり、乾燥した毛穴が盛り上がってザラザラした感じがある皮膚です。
② 紅斑と丘疹
紅斑・・・皮膚が赤くなっていることです。
表面がじくじくしていたり、乾いてサラサラしていることもあります。
丘疹・・・直径1cm以下の小さな皮膚の盛り上がりの事をいいます。時には赤みを帯びています。
赤い丘疹がひとつひとつバラバラに散布された状態になっている場合や、それぞれが融合して
大きな盛り上がりになっている場合もあります。
痒くてひかっくと この皮疹がよくできますが、掻く前から出現していることもあります。
③ 局面型湿疹
隆起性湿疹で、苔癬化していません。楕円形をしていることが多いですが、円形の場合もあります。
④ 貨幣状湿疹
直径5ミリ高さ2ミリくらいの小さな丘疹で 頂上の中央に小さな水泡をもっています。
狭い範囲に多数発生し、押し合うように集まり、一円玉から五百円玉くらいの大きさになっています。
⑤ リング状紅斑(白癬様)
中央が普通の皮膚の高さで、色は薄赤から淡褐色までいろいろあり、主として体幹に、ときには顔面や四肢にも発生します。
痒みがない事が多いですが、時々痒みを伴います。
⑥ 痒疹
少し隆起した褐色の固いもので、5ミリから2センチ程度の大きさです。
⑦ 耳切れ
耳たぶの付け根が痒くなるもので、アトピー性皮膚炎症のごく初期から起こります。
⑧ 尋常性漁鱗癬
テカテカした光沢のある鱗がついたような皮膚です。冬の乾燥期い目立ちます。
アトピー性皮膚炎と年齢とともに変化する皮疹
アトピー性皮膚炎は肘窩膝窩の苔癬化局面が最もよく見られる皮疹ですが、これが出現するまでにいろいろと変化します。
生後2カ月~1歳末頃まで・・・・乳児湿疹
顔面・体幹上部・頭部に湿った紅斑やビランがよく起こり、掻き破るとひどくなります。
1歳~10歳頃まで・・・・・小児湿疹
どちらかというと乾燥傾向の皮疹です。運動によってよく擦れる肘、膝や四肢の伸展側に小さなぶつぶつができます。
10歳以降・・・・・思春期成人期湿疹
肘窩膝窩の関節屈側に乾いた苔癬化が明確な皮疹です。
脇窩、上胸、頸部、額にも乾いた苔癬化が頻発します
これらと全く別のものに 成人型アトピー性皮膚炎があります。
成人型アトピー性皮膚炎は 年齢の要素を含めていないもので、本来のアトピー性皮膚炎にステロイドに対して依存状態となった副作用を合併した病態と言われることもあります。